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異端の数ゼロ

異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)」という本を読みました。

宇宙を織りなすもの――時間と空間の正体 下」よりも、先に手に入ったので、つい読んでしまいました。

西洋世界は

  • その宗教観とは相容れない0をどのように取り入れ数学を発展させてきたのか
  • 0の概念がもたらす「無限」の概念についてどのように理解してきたのか
  • 物理の世界で0と無限はどのように扱われているか

などが記述されています。

面白かった。

読書「アキレスとカメ」

アキレスとカメ」という本を読みました。

「アキレスとカメ」という言葉は、「ゼノンのパラドックスゼノンのパラドックス 」で有名です。

この本は、そのパラドックスの考え方や、考えるにあたっての数学的背景について書かれています。

今まで、このパラドックスを打破する手段として、無限等比級数が用いられてきました。しかしながら、ゼノンの原典を「キチン」と読むと調和級数をつかってもよいことになります。すると、このパラドックスは打破できません。

また、このパラドックスを数学的にキチンと打破するためには、数の概念を厳密化しなければなりません。
数の概念を厳密化するということは
1=0.99999999999999…..
をきちんと考えるということもその一つです。

ゼノンのパラドックスを題材に、このようなことが、優しい言葉で、図も豊富に書いてあります。

「あとがき」には、現在ビジネスマンの間ではやっている「論理的思考」とは、ギリシャ時代の「ソフィストの弁論術そのもの」といった揶揄的な意見も書かれていて、激しく同意。

ちなみに、著者は、数学科出身で、哲学者という、ちょっと変わった経歴の方です。

楽しめました。

アキレスとカメ
アキレスとカメ

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吉永 良正
講談社
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2次元より平らな世界―ヴィッキー・ライン嬢の幾何学世界遍歴

2次元より平らな世界―ヴィッキー・ライン嬢の幾何学世界遍歴」という本を読みました。

主人公は、2次元の世界の女の子。彼女が2次元平面を抜けだし、三次元ユークリッド空間を始め、射影幾何、双曲幾何など色々な幾何学の世界を「体験」する。

その後、話題は物理学の世界に展開する。今までの幾何学の知識を前提にして、ミクロの量子力学的な世界を体験したり、マクロな相対論的な世界を体験する。最後には、超ひも理論まで出てくる。

なかなか、知的好奇心をくすぐられる本でした。

ただ、ある程度、出てくる内容についての前提知識を持っていないと、理解するのはちょっとつらいかもしれない。幸い、私は数学科出身で大まかな幾何学の知識があったので、よかったです。

もっと、図を豊富につければ、さらにわかりやすい本になると思いました。

2次元より平らな世界―ヴィッキー・ライン嬢の幾何学世界遍歴
イアン・スチュアート
早川書房
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代数に惹かれた数学者たち

「代数に惹かれた数学者たち」という本を読みました。

今の大学の数学科はどうかわからないけど、私が学生のころの代数学の授業といえば、「群、環、体」といった抽象化した概念からいきなり講義がスタートしました。
具体的な代数のイメージがないまま、抽象的な概念を理解しなければならなかったので、大変苦労した覚えがあります。
ブルバキの数学原論が、大学生協の本棚に所狭しと並んでいた時代です。
#今は、あんま見かけないなぁ、、、

数論に非常に興味はあったのですが、現代代数学についていけなかったせいか、私の専攻は解析(関数解析)でした。

抽象代数の講義を受ける前に、こんな本を読んでおけばよかったと思います。この本は代数の歴史をひもといているので、群、環、体などの概念が必要となった背景や具体例が載っていて、数学を専攻していない人も理解できるのではないでしょうか。

今の時代は、色んな本があって、いいですねぇ。

代数に惹かれた数学者たち
ジョン・ダービーシャー
日経BP社
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フェルマーの最終定理

「フェルマーの最終定理」という本を読んだ。

私は、大学時代は数学を専攻していたので、この定理(当時は「フェルマー予想」と言っていた)を知ったのは、大学に入った年だったと思う。命題自体は非常に単純で、だれでも意味を理解できる。

『3 以上の自然数n について、xn + yn = zn となる 0 でない自然数 (xyz) の組み合わせがない』

という予想だ。

しかしながら、私が大学生の時まで300年もその証明が誰にもなされていなかった。数学科の学生って、こういうタイプの問題に対して、非常にロマンを感じるものだ。

「フェルマーの最終定理」という本は、この予想に挑んだ過去の数学者の物語や、数学の一分野である「数論」という分野に関して、そして何より、フェルマー予想を証明しフェルマーの定理とした「アンドリュー・ワイルズ」について記述されている。複雑な式は記述されておらず、人間ドラマとして書かれており、非常に楽しめました。