カテゴリー : 2008年 1月9日

年金記録、見つかって損する人がいる

年金記録漏れ問題で、年金記録が見つかったせいで、受給額が減るケースがあるとのこと。

このような現象が発生するのは、以下のケースがあるようです。

  • 中高齢特例対象者
  • 加入期間が40年以上あって、年金が部分的に“頭打ち”になっている人

ちなみに、「中高齢特例対象者」とは、以下の生年月日に該当する者は、40歳(女子や坑内員、船員は35才)以後の厚生年金保険の被保険者期間がそれぞれ指定した期間以上であれば、受給資格期間を満たしたものとされるという制度です。

  • 昭和22年4月1日以前:15年
  • 昭和22年4月2日〜昭和23年4月1日:16年
  • 昭和23年4月2日〜昭和24年4月1日:17年
  • 昭和24年4月2日〜昭和25年4月1日:18年
  • 昭和25年4月2日〜昭和26年 4月1日:19年

厚生年金保険では、上記の者は、被保険者期間を20年(240月)と「みなす」わけです。この制度は、旧厚生年金法の特例措置が引き継がれたものとなっています。

多分、今後の調査でこのような人が更に増えていくのではないでしょうか。社会保険庁がこのような人をどのように取り扱うか、今後の注目です。

izaの記事:

年金記録漏れ問題で照合・訂正作業が続くなか、未納や未加入とされていた期間の年金記録が見つかった結果、年金の受給額が減るケースが出ていることが分かった。みなし特例として納付実績に見合った額よりも多く年金を受けている厚生年金加入者の一部は、記録の訂正による増額分よりも減額分が上回ってしまうことがあるためだ。年金制度の“逆転現象”が記録漏れ問題を機に露呈したかたち。社会保険庁は年金減になった人数は「把握していない」としている。今後、記録の統合作業が進めば、混乱が広がりそうだ。厚生年金の受給額は、加入期間の長さと、過去に納めた保険料の平均額に応じて決まる。漏れていた年金記録が見つかった場合、加入期間は延びる。ただし、納付額が低かった期間の記録などが足されると、受給額の計算基準となる平均標準報酬月額は下がる。
一般的には、期間延長による増額分が減額分を上回り、差し引きしても年金額は増えることが多いが、厚生年金加入者の一部では、年金額が減るケースが生じる。可能性があるのは、実際の加入期間よりも長く保険料を納めたとみなされて年金を受給している「中高齢特例」の対象者や、加入期間が40年以上あって、年金が部分的に“頭打ち”になっている人など。
たとえば中高齢特例で、15年の納付期間を20年とみなされている人で、納付額の低い時期の加入記録が5年分出てきたとすると、実質的に厚生年金の加入期間は変わらず、平均標準報酬月額の下がり方によっては、年金が減額されてしまう。
年金額が増えるか減るかはケース・バイ・ケースで、見つかった加入期間、記録の時期、当時の標準報酬月額などを計算してみないと分からないという。
社会保険庁によると、昨年9月までの約1年間に年金の記録を訂正した人は約90万人。そのうち何人が減額になったかについては「よく分からない。調査するのも難しい」としている。

この件について、各地の社会保険事務所の対応が統一されていないのも問題になりそうだ。年金減額を説明された女性は「額が減ると聞いて、『それなら訂正しないで』と言ったら、『記録漏れが分かった以上、元に戻すことはできない』といわれた」と話す。一方、社会保険庁は「本人の了解や納得が得られなければ、無理に記録訂正はできない」として、記録をそのままにすることを否定していない。