労働基準監督署は、非正規雇用労働者の過労労災認定をしました。
労災認定:アルバイトに「過労」 コンビニ残業160時間--42歳、統合失調症
月160時間を超える残業をしていた神奈川県在住の元コンビニエンスストアのアルバイト男性(42)が、過重労働が原因で統合失調症を発症したとして労働災害が認定されたことが分かった。長時間・過重労働などを原因とする過労死、過労自殺の労災認定は、増加傾向にあるが、アルバイトなど非正規雇用労働者の過労労災認定は珍しい。長時間労働が正社員だけではなく、非正規まで広がっていることを浮き彫りにした。
男性や労災申請を支援した神奈川労災職業病センターによると、男性は神奈川県内の「サークルKサンクス」で1998年からアルバイトしていた。次第に労働時間が長くなり、もうろうとして働いているところを家族が見つけ、07年11月に仕事を辞めさせた。
申告を受けた労基署は、05年の3月や10月などに月間160時間を超える残業をしている事実をレシートの記録などから確認、「恒常的な長時間労働があり、精神的負荷が強くかかった」ことを原因に統合失調症を発症したとして業務上の災害と認定した。認定は今年9月。
認定では、男性は05年12月以前に発症したとされ、発症から2年近く症状を抱えたまま働いていたことになる。
男性の労働時間を記録したメモによると、この間、月に350~529時間働いていた。ほとんど、店に寝泊まりして働く状態で、賃金は30万円の固定給与だったという。
男性は現在、リハビリを兼ねて働いている。同センターの川本浩之さんは「不安定な雇用の中で常軌を逸した働かされ方をしている。非正規にまで広がった長時間労働を改めていく必要がある」と話している。
長時間・過重労働を巡る労災に関しては、うつ病など精神障害の労災で、08年度は927件(うち自殺148件)の申請のうち、30~39歳が303件、20~29歳が224件と20~39歳で5割を超えている。08年度は労災認定件数が過去最多だった。
サークルKサンクス広報部は「労災の認定を受けたことは承知しているが、詳しい内容は把握しておらずコメントできない」と話している。
ちなみに、労災保険で扱う保険事故は、業務上または通勤による労働者の負傷、疾病、傷害、死亡等です。
このうち、業務災害とは、労働者の業務上の負傷、疾病、障害、死亡等で、本件の場合は、「疾病」に該当するのでしょう。
業務災害と認められるためには、業務遂行性(災害発生時に、事業主の支配下で労働している)を満たした上で、業務起因性(災害が業務に起因していること)が必要です。
なお、労災保険の適用を受ける労働者は、労基法上の労働者となっていることから、パートタイマーやアルバイトは勿論、不法就労の外国人等も含めて、労災保険の適用労働者となります(暫定任意適用事業で使用される労働者を除いてですが)。
ですので、今回の労働基準監督署の判断は、当然ながら法の範囲内ですね。