保元・平治の乱について
- 2007年 10月27日
「保元・平治の乱を読みなおす」という本を読んだ。
読んだ感想は、私が高校時代に勉強したことと、最新の学説とはかなり隔たりがあるということです。また、先入観に基づかず、資料を元に学説を展開している点は素晴らしいと感じました。
保元・平治の乱に関して、以前は、摂関家内部の対立、藤原忠実の頼長に対する偏愛、平氏・源氏の武士の二極対立、平安貴族である藤原氏は武力に対しては源氏や平氏に頼るほか無かった、というような事を教えられました。
しかしながら、この本は、色々な資料から従来の学説を批判し、以下のような記述をしています。
- 当時の平氏(伊勢平氏)と源氏(河内源氏)は必ずしも対等な地位ではなかった
- 藤原忠通から藤原頼長への藤原氏長者の継承はあらかじめ定まっていたことであり、実子が生まれたため忠通がその約束を反故とした
- 藤原信頼は、白面の公家ではなく、武家として合戦に臨んだ
- 平治の乱の根本原因は、平氏と源氏の対立ではなく、院の近臣同士の対立であった
- 後白河天皇は、いわば繋ぎの天皇であり、天皇としての資質が疑問視されていた
- よって、平清盛は、一貫して後白河天皇(上皇)と距離をとって、二条天皇と親しかった
など、など、色々なことが分かってきます。
平安末期の2つの乱の最新学説を知りたい人にお勧めです。
また、この本の著者の元木泰雄氏は、「院政の展開と内乱」という本も執筆しています。こちらもお勧めです。